観察会記録(2024年9月度)

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大岩岳と丸山高原

観察会 : 2024(令和6年)年9月13日(金)  時間 : 10時20分〜16時00分  天候 : 晴れ
       
コース  : 西谷の森公園口バス停→西谷の森公園・東の谷管理棟前→丸山湿原(昼食)
      →大岩ケ岳千刈ダム→JR道場駅(解散)
      
参加者 : 10名

コース  : 10:20JR武田尾駅集合10:25〜西谷の森公園口バス停10:35〜10:45西谷の森公園
タイム    東の谷管理棟前(体操)10:55〜11:20丸山湿原群入口11:35〜12:20視点場(昼食)
       12:50〜13:20東大岩岳登り口鞍部〜13:30東大岩岳〜登り口鞍部13:40〜14:00大岩岳
       〜15:30千刈貯水場入口〜15:55JR道場駅着(解散)

<観察会概要>
 西谷の森公園バス停で下車、この公園は自然に学び、先人たちの知恵に学ぶための里地里山公園で東の谷・西の谷と森林で構成されている、2つの谷と展望台や東屋を結ぶ散策道が整備され、田植、稲刈り、木工クラフトなど体験できる。2016年度の秋に植物観察で、この地を訪れた、この西谷の森公園東の谷管理棟前で体操、湿原入口駐車場に向かう。
ヤマッボウシの実 西谷の森公園東の谷・管理棟前 駐車場前・Iさんの説明
  駐車場で湿地を案内いただく「丸山湿原群保全の会」のIさんと合流、丸山湿原は兵庫県最大規模の湿原群で兵庫県の天然記念物に指定され、丸山の南西側の山間に位置する5つの湿原からなる湿原群で幅の広い緩やかな谷底に発達したもので谷がシルト(沈泥、砂より小さく粘土より粗い砕屑物)により堆積する過程で生じたと考えられ、シルトからなる谷底に水が停滞して湿潤な土地が形成された事や各種植物の説明等があり第1湿地へ向かう。
  今回は高温多湿の時節柄、絶滅危惧種のサギソウやカキラン等の植物やヒメタイコウチ、カスミサンショウウオ、ハッチョウトンボなどの生息状況が観察できず残念、視点場から耕作放棄地のような状態の湿原を見る。
視点場 湿原
  観察路の彼方此方に高温多湿の影響からか?キノコ類が多数、キノコ類は腐生菌、菌根菌、寄生菌の三種類に分けられ、腐生菌は倒木や枯れ葉、植物の死骸などに寄生するしいたけやマイタケなどのキノコ。菌根菌は植物の根を通して栄養を補い、無機物を与えて植物と共生する松茸やポルチーニなどのキノコ、寄生菌は昆虫やクモ、一部の菌類や植物の種子などに寄生して養分を得るキノコ。寄生菌の中でも、特に昆虫やクモに寄生するキノコの総称を冬虫夏草と言いい、アリタケは、この冬虫夏草の一種。冬虫夏草の名前の由来は、冬は虫で夏になるとキノコになるという意味。アリタケの種類はアリの体に胞子を付着させ、外骨格を破って脳内に寄生。脳を支配した菌はアリの本来の生息場所である土の上を放棄させ、自分自身が繁殖しやすい場所にアリを誘導、一般的には木の上や葉っぱの陰など。体内で菌糸を伸ばした菌はアリの体がパンパンになるまで増殖、のちに再び外骨格を破って子実体を外に出す。この時はすでにアリは死んでいる。外に出た子実体は胞子を降らせ、再び死んだアリの体を床にして新しい寄生をはじめる、アリが脳を支配されて菌が繁殖しやすい場所に誘導され、最後の場所を決めるのは、その場所から落ちないように顎で葉や枝などに噛みつくことで完結するそうな。
見かけたキノコの数々と冬虫夏草のアリタケ
竹筒ポスト 東大岩岳山頂
 視点場から往路を竹筒のあった道を戻り東大岩岳へと向かう、この竹筒は、丸山湿原を訪れた来訪者の人数を確認するためのもので、月1回確認し、「丸山湿原群保全の会会報」に掲載されているようで、意味不明と誰も協力しない伝説の竹筒ポストと云われている。登山口から鞍部に出て東大岩岳を往復し大岩岳へと向かう、山頂から羽束山、大船山や有馬富士、裏六甲の山々が見える。
 山頂からは概ね下りで千刈ダム下、貯水場入口を経て不動岩(人気のクライミングスポットで昨年は講師が負傷、参加者を連れて入り、安全用のビレイピンを打ち込んだ所、頭上から幅1メートルほどの岩が崩れ落ちた)の下を通って道場駅に、駅前の自販機で買った冷たい飲み物が喉を潤す猛暑の観察会であった。

大岩岳山頂 384.1m
             千刈ダム      千刈貯水場


足跡図 歩行距離 約10.4Km
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