観察会記録(2019年 7月度)
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奈良県:明神山と亀の瀬地すべり地区見学
観察日 : 2019(令和元年)年7月19日(金) 時間: 約5.5時間 天 候 : 晴れ時々曇り コース・タイム : JR王子駅集合9:40 バス9:58 → 明神四丁目バス停10:11 → 明神山登山口10:20 → 明神山山頂11:00 展望・集合写真・昼食 山頂出発12:00 → 弁天橋 → 亀の瀬地すべり資料室13:20 13:30~15:00 ビデオ鑑賞、館内展示資料説明、排水施設等見学 地すべり資料館出発15:05 → JR河内堅上駅15:30 参加者 : 18名 |
「観察会概要」 明神四丁目のバス停は王寺ニュータウン内にある。バスを降りて少し歩いた所に明神山ハイキングコースの案内板がある。 ここでNさんより今日のコースの説明を聞いた後出発。 しばらく住宅街を歩いた所に明神山ハイキングコースの入口があり、山頂まで1.87Kmの表示があった。 |
ハイキング道の途中に 午後見学する亀の瀬地すべり地区が見える所があった。ここでしばらく休憩。 この時点ではただの斜面にしか見えなかった。 ここから10分程歩いて標高273.6mの山頂に着く。 山頂までは舗装された歩き易い道だった。山頂には水の神様を祀る水神社がある。明神山ハイキングコースは水神社への参道でもある。 標高差は約160m。 山頂は意外に広く三方に展望台が設置され360度眺望が開けている。 展望台の一角に「悠久の鐘」が設置されている。 ここで集合写真を撮る。 |
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西側の眺望 いずれも今日は遠くまでは見えない。 |
南側の眺望 天気が良ければ明石海峡大橋もみえ るそうだ。 |
可動式のテントが設置されている所 で昼食を摂る。 |
12:10山頂を出発。登ってきた道を10分間ほど下がった所から左の脇道に入る。この道は殆ど手入れされていない様子で、人の背丈程の草をかき分けて進まなければならないところもあった。 弁天橋を渡ったところを右折れし1Kmほど歩いて「亀の瀬地すべり資料室」に着く。 |
亀石 水かさが増していて亀の頭の部分が見えない。 |
13:30より、ビデオと展示パネルで地すべり地区の概要の説明を受けた後、施設の見学をした。 ★ 地すべり地区の概要 亀の瀬地すべり地は長さ1100m、幅1000m、最大厚さ約70m、推定移動土塊量1500万m3..。もし,これ等が地すべり を起こすと交通路を絶つだけでなく大和川を堰き止め奈良・大阪に大水害を起こす危険性がある。 そこで1960年(S35)から建設省(現国交省)の直轄事業として地すべり対策事業を実施。近年は地すべりが見られな くなった。 ★ 地すべりのメカニズム 亀の瀬の地質は大きく二つの層に分けられる。土台は岩石で出来た硬い地層。その上に水を含むと滑り易い粘土質 の地層が被さっている。二つの地層の境目は滑りやすくなっており「すべり面」と呼んでいる。 すべり面までの深さは最大70mある。 ★ 地すべりによる主な災害 明治36年地すべり 大和川の川床が隆起、大雨で大和川が氾濫、上流に浸水被害。国鉄関西本線トンネル東口が崩壊。 昭和6~8年地すべり 長く続いた地すべりで水平に30m移動で大和川の川床が隆起。上流に浸水被害。国鉄関西本線の亀の瀬トンネル が崩壊。 昭和42年地すべり 水平に26m移動。大和川の川幅が1m狭まる。この時は少雨が幸いし上流部の浸水は免れた。 ※ 地すべり : 地面の原形を保ったままゆっくり動く 誘因 : 地下水による影響 崖崩れ : 急斜面土砂が雨水を含み崩落する。 誘因 : 大雨 ★ 地すべり対策工事 杭工事 直径6.5mの鉄筋コンクリート製の杭(地下96mから地表まで)を55本設置。 排土工事 地すべりの原因となる土砂を取り除く。 90万m3(大型ダンプ17万台分)を取り除く。 地表水排除工事 地すべりの地域内に雨水を浸透させない為に水路を作り地域外に排水する水路を整備。 地下水排水工事 「集水井」、「排水トンネル」、「集水ボーリング」 地下水の溜まり易いところに井戸を作り(集水井)ここから斜め上方に細かい穴があいた鋼管を打ち込み(集水 ボーリング)これで地下水を集める。集められた地下水は「排水トンネル」を通って大和川に流される。 排水トンネル内部から打ち込まれた集水ボーリングによりトンネル自身でも集水を行なっている。 集水ボーリングの総延長約147Km 排水トンネルの全長は約7.2Km. |
本日の足跡:約8Km |
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15:05 資料室出発。15:30JR河内堅上駅着。 |